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栃木県知事選に思うこと

栃木県知事選も今日で中盤、あと1週間でこれから4年の知事が選ばれます。
どっちかというと政治には無関心のくまさん、でも今回はちょっと考えることがあり今までとは違うようです。
表だって論点になってはいませんが、「新交通問題」は今後の県民の負担に大きく影響がある物だとくまさんは考えているからです。

宇都宮市役所の新交通に関するページ
アストラムラインについて
街を駆ける天使たち
特集 新交通システム
新交通システム(しんこうつうシステム)
ガイドウェイバスについて
新交通についての新聞記事・・・古い記事ですが(下野新聞)

上のサイトは新交通について基礎知識を読むことが出来ます。

宇都宮市の新交通の話
LRT.jpg
宇都宮市では宇都宮駅東口から清原工業団地を経由しテクノポリス予定地までの公共交通の設置を検討しています。設置が望まれる背景として鬼怒川と右岸地域への通勤の車で恒常的に朝夕の石井街道、柳田街道などの渋滞があり、これを解消する為にというのが一番だと思います。
宇都宮市としては新交通システムを導入するに当たっての理由として次のように述べています。(市のホームページより)

 宇都宮市は、自家用車に頼らざるを得ない交通ネットワークとなっており、道路渋滞の発生や都市環境の悪化の一因となっています。
これらの問題を解決し、住みよいまちづくりを進めるため、「ひとや環境に優しい」新交通システムの導入が必要と考えています。

1.クルマ依存社会の行き詰まり
クルマが増えたため、道路の渋滞が激しくなっています。道路の整備や拡幅などによる通過容量の確保は年々厳しくなっており、クルマに代わる新しい交通機関が必要となっています。

1.環境問題への対応
良好な都市環境を守っていくことが求められており、クリーンでエネルギー効率の高い交通機関の導入が課題となっています。

1.高齢化社会への対応
高齢者や障害を持つ人などにやさしく、自由に行動できる交通システムの整備が求められています。

1.中心市街地の活性化
中心市街地は道路混雑や駐車場の不足などにより利便性が低下し、空洞化が進行しています。公共交通機関の整備とともに、トランジットモールの整備など、にぎわいのあるまちづくりが必要となっています。

だから新交通システムは必要であり、
新交通システムの特徴
●ひとと環境にやさしい
●高齢化社会に対応
●にぎわいのあるまちづくりを演出 といったことが実現されるとしています。

果たしてそうなのでしょうか?

「環境問題への対応」については異論はありません。年々増加する自動車によって環境が悪化していることは事実です。しかし自動車そのものも環境対策が進み、以前に比べると環境に優しくはなってきておりますし、水素自動車など今後一段と環境に対しての対応は進む物と考えられ、新交通システムが環境対策の切り札だといえるかどうか言い切れる物ではありません。
新交通システム建設には今後長期の時間を要すると思われ、完成時点での自動車の変化がどうなっているのか?その点を踏まえもう一度比較検討することが必要でしょう。

残りの3点については多くの疑問符が付いてしまい市の言い分をそのまま鵜呑みにすることは出来ません。
一番気になるのは採算とその必要性です。

1.必要性

市のホームページで新交通システムが必要な理由として クルマ依存社会の行き詰まりをあげています。栃木県は確かに自動車の保有率も全国上位で自動車への依存度が高くなっています。道路の通行キャパシティーから渋滞などの問題が出てきているため、車に変わる新しい交通機関が必要だといっています。

lrt2.gif@何処に渋滞が発生しているでしょうか?
宇都宮市内で朝の交通ラッシュ時何処に渋滞が発生しているでしょうか?新交通システムの対象となる宇都宮市東部では市内に入る路線は、4号線、JR宇都宮線がネックになっての渋滞です。また清原工業団地等へ市内から出て行く路線では鬼怒川を越えることがネックになっています。
確かに現状では、通過容量が確保されているとは云えません。というより、ボトルネックが放置されている状態だと云えないでしょうか?
例えば、石井街道平松交差点にしても、宇大前まで2車線で来た道路が平松交差点では宇都宮市内直進は1車線になってしまいます。交差点を越え2車線に戻っても、JRのガードで再び1車線になってしまいます。今泉町のJRガードも同様です。通行量を1/2に絞ってしまうのですから渋滞が起きて然るべきです。
もう一つ、朝の宇都宮市内の交通渋滞の要素として高等学校の学生の通学による影響があります。
宇都宮市西部に私立の高等学校が集中していて、学生を運ぶためのバスが大量数市内を宇都宮駅から市内を横断して行きます。(新交通システムでも捌ききれないのでは??)バスの大量通過が市内の渋滞を一段と混雑させています。
このような箇所が点在していること、朝の通学ラッシュが渋滞原因であるとしたら、まずはこのような点の改良を試みることが先決ではないでしょうか?短絡的に新交通システムに結びつけていないでしょうか?
かつて、宇都宮東部に居住し、宇都宮市内を横断して通勤していましたが、30年来このボトルネックは改良されていません。


A誰が乗るのか?
宇都宮駅東口から東進して鬼怒川を渡る、いわゆる柳田街道ですが、宇都宮駅←→4号線間は新しい町でオフィス街、商店街どちらとも云えずまだ集積は不十分な地域です。4号線←→新4号線間は住宅地になっていますが、平出工業団地などもあり一般住宅がそれ程多いとは云えません。新4号線から外は農業地域です。こうしてみると宇都宮駅から新4号線まで3q程度この間の人口密度はそれ程高いものではありません。鬼怒川東岸では清原工業団地があります。その東に南団地という住宅地がありますがこの住宅地の北をかすめて通るような路線計画となっていますので、この団地の人にとっては大きなメリットがあるものではありません。
終点のテクノポリスはまだこの先どのようになるのか?本来ならとっくに出来ているはずのものですがなかなか大きく進展はしていないようです。
当初計画路線12qのうち宇都宮駅から3q程度が市街地、その後5q強が田畑の中、残りが田園の中の工業団地となっています。路線沿線を考えると住宅地は余り通らない、宇都宮駅東口の新興のオフィス街と姿の見えないテクノポリス・清原工業団地を結ぶ通勤路線としての位置づけなのでしょうが沿線人口が高いとは云えません。

駅東口のオフィス街、商店街へ宇都宮東部から来るなら、JR駅で行き止まりになってしまう柳田街道は空いていますのでそのまま車で直行してしまった方が遙かに早く目的地に着いてしまうでしょう。
逆に市内から清原・芳賀工業団地へ向かう場合メリットがありますが沿線徒歩圏内に住宅地が少ない(徒歩圏内に住んでいない)ことから、駅までどのように行くかという新交通システムの駅までの足の確保に問題があります。

A高齢者に優しい?
住宅の多い南団地を外すなど、どちらかと言えば住宅地を避け、将来のテクノポリス・清原・芳賀工業団地への通勤者の為の路線の性格を持った新交通システムです。
高齢者の方が公共の交通機関を利用するなら自宅から300b、悪くても500bの範囲に乗降場・停車駅があって欲しいものです。ですが、現在考えられている路線での住宅地と言えば南団地と4号線←→新4号線間位であって、路線全体で占める割合はほんの一部です。ですから、停車駅の近くに住む高齢者の方は非常に少ないのが現実ですので、何を根拠に市は新交通システムが高齢者に優しいと言っているのかわかりません。
最近導入されている路面電車など低床式のものが多く乗降が高齢者達にとっても負担が少ないものになってきていますので、乗り降りを考えれば確かに高齢者に優しいかも知れませんが、だからといって、市が考えている新交通システムが、高齢化社会に対応する、宇都宮市の高齢者の為のシステム、「市内各地域に住む高齢者にとって身近で役に立つ公共交通システム」と言えるものではありません。ここでも何か耳当たりの良い言葉のマジックにかけられている感じです。

B中心市街地の活性化
当面の導入ルートは宇都宮駅東口からテクノポリス予定地までです。この路線が出来ることで宇都宮市内の活性化に繋がるのでしょうか?その辺の論拠も判りません。
車社会に対し宇都宮市内の駐車場等で立ち後れていることは確かですが、交通面で本当に渋滞がひどいのでしょうか?
私個人としては、空洞化の影響か?今の宇都宮の市内の大通り、南大通りは通り抜けるのには朝夕のラッシュ時を除いては混雑の少ない通りやすい道だとおもえます。
地盤沈下、空洞化は交通問題が起因しての結果ではない筈です。多分、市の担当者の方も十分承知なのでしょうけどね・・・・・。
現実に市内では上野百貨店、西武百貨店、ロビンソンと言った大型店が建て続けに閉鎖になりましたが、その分の需要が残った東武百貨店に流れているでしょうか?市内の各店に流れているでしょうか?”否”だと思います。市円周の商業スポットの方に流れてしまっているのが現実です。
市内に足が向かないのは自動車では行きづらい面の多分にあるでしょうが、市内に魅力あるスポットがない事に尽きるのではないでしょうか?もし、宇都宮の市内中心部に最近出来たベルモールとかインターパークと言った商業集積が出現したらきっと一挙に人が集まるはずです。中心部の地盤沈下は交通問題以上に中心部の活性化努力不足が問われなければなりません。
宇都宮の街はそれでなくとも宇都宮駅と中心繁華街の間に距離があり、この間に人を呼ぶ商業集積がないのです。宇都宮駅で降りた人が中心繁華街まで行くにはバスに乗って行きます。仙台の街のように、駅から中心繁華街まで商店街が連なるのなら歩いても楽しくて良いでしょうが、何も見るところも無いところを歩きたいと思う人は少ないのは尤もです。
このように駅と中心繁華街が分断されていて、駅までしか行かない新交通が中心街の活性化に寄与すると言う理由付けは飛躍しています。(市内まで新交通システムを通す計画がありますがそうなると又別の検討点が出てきます)
中心街の活性化と新交通は別個の問題として現在は考えるべきで、市の言うような「新交通設置=中心街の活性化」の図式は言葉のマジックに見えてきます。

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市では既にこれだけの新交通が走っていると既存の例を示していますが、宇都宮より規模の大きい、他の公共交通も整備されている都市が大半です。


2.採算性

saisan.gif市の「新交通システム導入基本計画調査報告書(概要版)」でも示されるように、採算性については、今までに述べた路線沿線の状況から、単年度収支でも採算に乗せるにはかなりの経営努力(プロジェクト集客関連)が要するとされています。そして、初期投資回収を図るには当初計画路線では遙かに及びません。宇都宮駅西部への拡張があれば単年度収支では黒字化が出来るが初期投資の回収にはまだ及ばないとされています。

以前、JR合理化で地方線が第3セクターへ切替で路線を存続されたことがありました。栃木県内関係には野岩線がその例ですが、当初計画では早期に単年度黒字化が図れるというものだったと思います。でも現実はいまだに安定した黒字化は達成できずにいます。
行政を信用しないわけではないですが、収支計算は厳密に行っているのでしょうか?新交通システムは将来の市民、県民の負担に大きく影響を与えるものですので、厳密な、そして単年度収支でも早期に黒字化が図れるものであって欲しいと思います。


3.まとめというか?

@怖い図式
新交通システムは自動車社会にたいする1つの解決策であり、厳しい見方をすれば挑戦です。
宇都宮の新交通システムについて言えば、新交通を設置することにより路線となる幹線道路が2車線奪われることになるのです。特に宇都宮駅から西への路線を含む全体計画が完成した場合、宇都宮市内は自動車にとっては一段と走りづらいものとなるでしょう。当然市内への車の乗り入れ規制を行うことになるはずです。
Image2.gifこうなった場合、ますます市内が空洞化する危険な図式も考えられます。
栃木県は自動車がなければ足に困るほど公共交通衰退してしまっています。宇都宮市内の足を支えるバス会社も産業再生機構の支援を受けねばならなくなっています。宇都宮東部に路線を持つ別のバス会社もありますが経営的には同様の苦しさです。
その為路線本数が減る→乗りたい時間に乗れない→不便になるから自動車に頼るという悪循環を辿って今まで来ていて、公共交通基盤は非常に脆弱で、だからこそますます自動車に依存することになります。
こうした高い自動車依存を東西1本の新交通システムで打ち破れるのでしょうか?新交通システムに人を乗せるため乗り入れ規制を強化したとして、南北の流れはどうなるのか?(JRが南北に走っていますが市の東端を走っているというのが正解)依然として自動車に頼らざるをえないままです。
市の描く将来のイメージ図のみかけ以上に自動車に依存しなければならない地域が多く残ることになります。(南北のJRの描き方が問題!人口比率はJRを挟み西側3に対し東側1の割合です)
市内へ規制で入りづらくなる人口が多く取り残された場合、余計に周辺に集積された商業施設等で用を済ませ市内に足が向かなくなる可能性があります。

A宇都宮市の将来像
pla0.gifこのようなシステムが力を発揮するにはネットとしての公共交通システムの構築を考えて行かねばなりません。
その為には、まず今後の宇都宮市の都市計画をどのようにするかという所から検討し、その中のひとつの要素として新交通システムが検討されるべきです。しかし、現在議論されている新交通システムの議論は14,5年前に「まず新交通ありき」でスタート議論ではなかったかとおもいます。
新交通システムと言っても、平たく言えば「路面電車」です。栃木県という自動車への依存度が高い所で安易に導入すれば一層混乱を招きかねません。自動車社会と共存する形での新交通システムの導入論がしっかりなされていない今はまだ時期尚早と個人的には考えます。

B県民の負担
宇都宮市に住まない人間にとって、県と一体となってこの計画を進められると言うことは、宇都宮市の負担を転嫁されることになります。建設費は償還できない、単年度黒字化も当初路線ではかなり経営努力を要する=下手すれば毎年穴埋め負担が発生するということになりかねません。
県内主力銀行の国有化で県内経済の先行き不安が依然残っているところで、格好は良いけど分不相応なこうした計画を推進していけるような経済状態に本県はなっていないはず。
しっかり考えねば・・・・・・・・・

今日(と言うか昨日)現職知事を誹謗する文書が大量に流されました。このような文書はアンフェアですね。関係ないと当然言うでしょうが、県内に大量に撒くための資金力等々を考えると繋がりがないわけ無いですものね。上の新交通の問題にしてもいつもあるような利益誘導方のきな臭い噂も流れているし・・・・・あくまでも政策で対決して貰いたかったと思います。

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2004年11月21日 17:54に投稿されたエントリーのページです。

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